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ベーパーロック現象とは?原因や予防策、発生した場合の対処法を解説
2023年09月22日
ベーパーロック現象は、下り坂などを走行中にブレーキ機能が作動しなくなり大変危険な現象です。
一般的には起こりにくいものの、ブレーキを使うシーンが多い下り坂などでは起こる可能性があります。
しかし、事前に予防できるため危険を回避できます。
この記事では、ベーパーロック現象や原因、予防策などについて詳しく解説します。
合わせて、もし、起きてしまったときの対処法についても解説するので参考にしてください。
ベーパーロック現象とは?
ベーパーロック現象は、フットブレーキを多用すると起こってしまう現象です。
具体的には、ブレーキを踏んだときにかかる圧力により、ブレーキフルードが過熱され沸騰状態になり気圧が発生します。
この気泡が制動力となる圧力を吸収するため、ブレーキの機能が著しく悪化する状態を「ベーパーロック現象」といいます。
ベーパーロック現象が起こると、ブレーキを踏んでも違和感がなかったものの、途端に反応が鈍くなり「抜けた」状態になります。
一般的には、ブレーキを踏むと「反力」といった力が返ってくるものの、気泡が発生すると油圧系内部の気泡を潰すのみとなってしまうのです。
ここでは、原因やべーパーロック現象と似ている現象との比較や対策を紹介します。
原因|ブレーキフルードの沸騰
ベーパーロック現象は、ブレーキフルードが沸騰することで発生します。
ブレーキを強く踏んだり、長い時間踏んだりすると、油圧のブレーキフルードが沸騰して気泡となり油圧が働かなくなるためです。
油圧は、ブレーキペダルを踏んで止めるときに、足で踏んだ力を伝える圧力です。
そのためブレーキの油圧はとても大切ですが、熱により沸騰してしまうことで、油圧パイプの中に気泡ができて緩衝材の働きになってしまいます。
つまり、正しく圧力がかからない状態になるため、制動力が生まれない危険な状態になるので注意が必要です。
比較|フェード現象との違い
ブレーキが機能しない現象には、ベーパーロック現象のほかにフェード現象があります。
ベーパーロック現象と似ているものの、フェード現象の起こる過程が異なります。
フェード現象は、ブレーキ関連のゴムパーツが熱によって摩擦力を奪われ制動力を失う現象です。
ブレーキは、ブレーキパッドとローターでタイヤを挟み込み、摩擦力によって車を制動させます。
ブレーキパッドは、300℃までの耐熱力があるものの、ブレーキを多く使用すると耐熱度を超えてしまいゴムが気化するのです。
結果、気化したガスがタイヤとの間に入り込んで摩擦力を奪います。
双方とも過程は異なりますが、「フットブレーキの使用過多」「ブレーキが効かなくなる」との共通点があります。
対処|もしもが起きても慌てずに
自動車のブレーキは、全部で3種類あります。
・フットブレーキ:ペダルを踏んで減速させる
・エンジンブレーキ:エンジンの回転数を落として減速させる
・パーキングブレーキ:停車している車の状態を保つ
一般的には、フットブレーキを踏んで車の速度を抑えたり、停止させたりします。
もし、フットブレーキで止まらなくなってしまった場合には、残りの2つのブレーキを使い自動車を止めるしかありません。
エンジンブレーキは以下の手順で行います。
・AT車:D(ドライブモード)から1つシフトダウンさせる
・MT車:道路の状態に合わせてギアを下げる
その後、十分に減速させてから、パーキングブレーキにギアをチェンジすることで停車させられます。
焦って一気にかけてしまうと後輪がロックしたスピンしてしまいますので徐々にかけていきましょう。
エンジンブレーキを活用している間は、フットブレーキには触れずに、しばらく冷却し機能の回復を待ちます。これをブレーキパッドのリターンといいます。
AT車では、一気に低速ギアへチェンジすると、ミッションの故障やトラブルが起こる可能性や駆動輪にロックがかかるため注意してください。
それでも停止できない場合は、道路沿いに設置されている待避所に突入させたり、ガードレールなどにすり寄せて緊急に停止させたりしなくてはなりません。
ベーパーロック現象の予防策
ベーパーロック現象を起こさないためには、どのような運転を心がければよいのでしょう。
ここでは2つの予防方法を紹介します。
1.エンジンブレーキを併用
運転中は、ブレーキペダルだけでなく、エンジンブレーキを併用した運転を心がけてください。
エンジンブレーキは、エンジンの回転抵抗を利用した制動方法で、ベーパーロック現象の予防法に最適です。
特に長い下り坂の前にギアを落として、十分に減速しておくのが重要です。
そして下り坂走行中はエンジンブレーキを使いましょう。
2.ブレーキフルードまわりのパーツを交換
ブレーキフルードは経年劣化により、正しく機能しない可能性があるため定期的な交換は必要です。
ブレーキフルードが劣化すると、ブレーキ系統の故障に直結するため注意しましょう。
交換頻度は、通常2〜3年に1度が最適ですが、よく運転をする方や運転環境によっては早いスパンで検討してください。
ブレーキフルードはエンジンルームのリザーバータンクの中に入っています。
色により劣化の進行度を確認できるので定期的に確認しましょう。
具体的には、透明だったものが、黄色や茶色、最後には、こげ茶の順で劣化します。
変色していたら整備工場などに依頼して、ブレーキフルードを交換してください。
また、ブレーキの耐熱性能はブレーキパッドに使用されている摩擦材の材質で決まります。交換頻度の目安に関わらず、気になる方は整備工場などにご相談ください。
まとめ
ベーパーロック現象は、フットブレーキを使用し過ぎることで発生します。
自動車を運転するときは、一般的にフットブレーキで速度を落とすため必要不可欠です。
しかし、長い下り坂などでは、フットブレーキだけではなく、エンジンブレーキを効果的に活用しましょう。
また、ブレーキフルードをはじめとした定期的な点検や交換も事故を未然に防ぐためにもとても大切です。