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ブレーキの制動力とは?計算方法や車検について解説
2022年01月18日
車にはブレーキが付いていますが、この車を止める力のことを制動力といいます。
車検時は、ブレーキが正常に作動するか検査を行い、この検査基準を満たしていればブレーキ性能は合格となり車検に通ります。
ここでは、普段あまり耳にしない制動力について、また車検時にどのような検査を行うのか、制動力の計算方法を紹介します。
車の制動力とは?
車の制動力とは、ブレーキペダルを踏むことによって減速させる力のことをいいます。
制動力は進行方向とは反対に発生する力であり、タイヤや路面の摩擦係数や速度によって力の大きさは変わります。
ブレーキの機能について
車は「アクセルを踏むことで加速し走行する」「ハンドル操作によって曲がる」「ブレーキを踏で減速し、止まる」という3つの動作が基本となります。
これらの動作の中で、安全な走行に欠かせないのがブレーキです。
ブレーキというのは、走行中の車の運動エネルギーを摩擦抵抗によって熱エネルギーに変換し、その熱を放出して減速、停止をする機能を持っています。
摩擦は、動いている2つのものが接触することで発生する抵抗力ですが、この抵抗力によって生じるのが制動力であり、ブレーキの効きは制動力の値で決まります。
ブレーキの歴史
初期の自動車は、馬車から流用したブレーキを搭載していました。
しかし、馬が自ら止まる馬車と違い、自動車はエンジンによって走行しているので制動力不足が課題でした。
そこで開発されたのが、シリンダーで摩擦材をドラムに押しつけて制動するドラムブレーキです。
ドラムブレーキには自己倍力作用があり、自然に高い制動力が得られます。
しかし、その反面、放熱性が低いため、下り坂などでブレーキを多用すると効きが悪くなるフェード現象が起きやすいという問題点がありました。
この「放熱」にフォーカスして開発されたのが、ブレーキの主流となっているディスクブレーキです。
ドラムの代わりにディスクローターを搭載し、ブレーキパッドでローターを挟むというのがディスクブレーキの構造です。
「ディスクが露出しているのでフェード現象が起きにくい」という点は優れていましたが、ドラムブレーキのような自己倍力作用がないため、制動力を向上させるための開発が行われました。
その後、ディスクブレーキを搭載したジャガーCタイプが1952年のミッレミリアに参戦。
翌年はル・マン24時間レースでもワンツーフィニッシュを達成したことで、性能の高さや安全性が認められ、現在は普通自動車でも制動力の高いディスクブレーキが採用されるようになりました。
車検のブレーキ検査(制動力判定)はどんな検査をする?
車検では、ブレーキの制動力を判定するブレーキ検査(ブレーキテスト)を行います。
検査は、機械でタイヤを回転させて、フットブレーキを踏んで制動力の値をチェックするというシンプルなスタイルです。
ブレーキの制動力は、ブレーキパッドとディスクローターの摩擦抵抗によって発生しますが、検査ではパッドやローターの状態はチェックされません。
フットブレーキ検査では、制動力が決められた基準値に達するかどうかで合否が決まります。
車種によって基準の値は異なりますが、一般車両の制動力の総和が重量時の50%(4.90N/kg)以上、後車輪の制動力の和が後軸量の10%(0.98N/kg)以上となっています。
制動力判定では左右差のテストもあり、左右差は8%以下と定められていて、これを超えた場合は不合格となります。
また、サイドブレーキも検査対象となっており、手で引くタイプ・足で踏み込むタイプ共に、十分な踏みしろがあり、タイヤがしっかりロックされれば合格です。
ブレーキの制動力の計算方法
車のブレーキの制動力の計算方法は、車検を行う自動車検査員であれば知っています。
一般の人が自分で計算することはないと思いますが、どのようなものか、簡単に説明しましょう。
計算に必要となるのは審査時の3つの重量、①「前軸重(審査時)」、②「後軸重」、③「車両重量(審査時)」と、テスタ計測値。
テスタ計測値は、④「前ブレーキの数値(左右差)」、⑤「後ブレーキの数値(左右差)」、⑥「後ブレーキの数値(左右合計)」、⑦「ブレーキの合計(総和)」、⑧「サイドブレーキ(左右合計)」の5つが必要です。
制動力は「後軸」「総和」「サイドブレーキ」それぞれで求めます。
- 後軸の制動力=⑥「後ブレーキの数値(左右合計)」÷②「後軸重」
- 総和=⑦「ブレーキの合計(総和)」÷③「車両重量(審査時)」
- サイドブレーキ=⑧「サイドブレーキ(左右合計)」÷③「車両重量(審査時)」
ブレーキの制動力の計算方法は専門的に学ばないとかなり難しいため、正確な数値は自動車検査員に出してもらいましょう。
安全な走行はブレーキの制動力が重要
車は、ただ走れば良いというものではなく、止まりたいときに止まれることがとても重要です。
どんなに快適な走行ができても、いざというときに止まれなければ乗りこなすことはできません。
ブレーキ制動力は安全に車に乗るために、欠かせないチェックポイントです。
車のブレーキの機能が心配な場合は、株式会社クランツにご相談ください。