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トラックのクラッチが重い | 原因・対策と交換目安を解説
2023年04月30日
トラックのクラッチが重いと感じるのは、クラッチディスクの摩耗などの原因が考えられます。
放置していると走行に支障をきたすので、すみやかな対処が望ましいでしょう。
今回の記事では、トラックのクラッチが重くなる原因と、適切な使い方・チェック方法を解説します。
記事を読むと「トラックのクラッチが重い」と感じる前に対処でき、安全な走行を続けられます。
トラックのクラッチが重い3つの理由
トラックのクラッチが重いと感じるときは、クラッチやクラッチ周辺の異常を疑いましょう。
具体的な理由として以下の3つが挙げられます。
1.クラッチワイヤーの劣化
2.レリーズベアリング周りの汚れ
3.クラッチディスクの摩耗
それぞれについて解説します。
①クラッチワイヤーの劣化
トラックのクラッチが重いと感じる場合、クラッチワイヤーが劣化している可能性があります。
クラッチワイヤーとは、機械式クラッチにおいて、クラッチからミッションへ動きを伝えるワイヤーです。
クラッチワイヤーが劣化すると、クラッチペダルを踏んだときにワイヤーの動きが悪くなります。
上記の場合、ワイヤーを交換するだけで改善できるのでDIYでも対応可能です。
症状としては、比較的軽度のケースです。
②レリーズベアリング周りの汚れ
レリーズベアリング周りの汚れもチェックしておきましょう。
レリーズベアリングは、クラッチ内の力を伝達する部品です。
レリーズベアリングが横にスライドする際、シャフト上に汚れが溜まっているとクラッチが重くなります。
上記の場合、グリスアップで潤滑油を補給し、動きを滑らかにできるケースもあります。
しかしながら、うまくいかない場合は分解洗浄や、交換も必要になるでしょう。
症状が重い場合は、部品交換を検討してください。
③クラッチディスクの摩耗
トラックのクラッチが重い原因として、クラッチディスクの摩耗も疑っておきましょう。
トラックは積載量が多く長距離を走るため、クラッチの摩耗具合は普通車の比ではありません。
クラッチの異常を感じたときは、クラッチディスクの交換時期が来ている、もしくは近いと思ってよいでしょう。
クラッチディスクの交換については、整備工場やディーラーへ依頼するのが賢明です。
トラックのクラッチが重い状態を避ける3つの方法
トラックのクラッチが重い状態をできるだけ避ける方法として、以下の3つがあります。
1.頻繁なギアチェンジ・半クラッチを避ける
2.エンジンブレーキの多用を避ける
3.クラッチレリーズシリンダーで調整する
それぞれについて解説します。
①頻繁なギアチェンジ・半クラッチを避ける
坂道発進に有効な半クラッチですが、使用頻度が高いとゴムの焼けるような臭いが生じます。
半クラッチはクラッチの消耗を早めてしまいます。
なるべく多用しないように心がけましょう。
ギアチェンジに関しても同様です。
トラックは乗用車と比較してパワーが強いため、一度エンジンの回転数を上げる
と下がりにくくなります。
したがって、頻繁にギアチェンジする必要はありません。
焦らず、ゆっくりと、が基本です。
②エンジンブレーキの多用を避ける
エンジンブレーキは、ブレーキパッドの消耗を防ぐのに有効な手段です。
特に、凍結路面の下り坂では効果的ですが、多用するとクラッチの劣化が早まります。
トラックの場合、大きさによってエアブレーキや排気ブレーキなど、さまざまなブレーキが備わっています。
うまく併用してクラッチの劣化とブレーキパッドの消耗を防ぎ、安全走行を心がけましょう。
③クラッチレリーズシリンダーで調整する
トラックのクラッチが重い場合、レリーズシリンダーの位置を調節してみましょう。
レリーズシリンダーは、クラッチペダルを踏んだとき、クラッチ板をエンジンから離す役目を持っています。
その結果、エンジンの回転を断ち、ギアチェンジをスムーズに行えます。
トラックの場合は、ミッションの横にあるのでチェックしてください。
シリンダーに取り付けられているボルトのロックナットを緩めると、クラッチを踏み込んだ際の重さを調整できます。
トラックのクラッチの交換時期・距離の目安
トラックのクラッチを交換する目安は、距離にして10万キロ前後です。
期間としては6〜8年とされています。
ただし、乱暴な運転を続けていると6年経たずに「クラッチが重い」と感じるようになるでしょう。
逆に、クラッチをいたわる運転を心がけていれば、耐用年数は延びていきます。
クラッチは見えない部分なので、定期的な整備点検を受けて、ディスクの摩耗具合をチェックしてもらうとよいでしょう。
トラックのクラッチが重いと感じる前に点検するポイント
トラックのクラッチが重いと感じる前に、摩耗をチェックしておきましょう。
具体的には、以下の2つの方法があります。
1.クラッチの遊びによる摩耗チェック
2.発進時のエンストチェック
それぞれについて解説します。
①クラッチの遊びによる摩耗チェック
クラッチを踏み込んですぐにクラッチが切れるようなら、クラッチの摩耗が進んでいると思って間違いありません。
クラッチペダルを踏み込んでからクラッチが切れるまでには「クラッチの遊び」と呼ばれる踏みしろがあります。
クラッチの遊びが少ないのはクラッチが消耗しているサインです。
いっそう丁寧な運転を心がけ、交換・メンテを視野に入れておきましょう。
②発進時のエンストチェック
運転前に手軽にできるクラッチのチェック方法が、発進時のエンストチェックです。
ただし、毎日やると逆にクラッチに負担をかけてしまうので、多くても月1回くらいがよいでしょう。
手順は以下の通りです。
1.サイドブレーキを利かせた状態で最も高いギアにシフト
2.一気にクラッチペダルから足を離してクラッチミート
3.クラッチミートと同時にエンジンが停止すればクラッチは正常
ワンテンポ遅れてエンストしたらクラッチ滑りの可能性があります。
手軽でわかりやすいチェック方法なので、ぜひ取り入れてみてください。
まとめ
トラックのクラッチが重い、と感じるようになる主な理由は以下の3つです。
1.クラッチワイヤーの劣化
2.レリーズベアリング周りの汚れ
3.クラッチディスクが摩耗
直すためには本格的な分解が必要になるので、プロに依頼するのが望ましいでしょう。
ドライバーとしてやるべきは、適切なクラッチ操作によるクラッチ負担の軽減、そして月一回程度の点検です。
トラックを常にベストの状態にして安全な運転を心がけましょう。